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睡眠中の歯ぎしり状態のチェック、「筋電計検査」とは?:コラム/ますち歯科診療室 MASUCHI DENTAL CLINIC


睡眠中の歯ぎしり状態のチェック、「筋電計検査」とは?

ウエアラブル筋電計検査

GC社が開発した、睡眠時の歯ぎしり状態を検査データとして見える化を可能にしたのが、ウエラブル筋電計です。今回当診療室では、検査機器導入により今後、必要とされる患者さんの就寝中の筋活動を計測解析し、診断の一助とすることになりました。

日常の習慣的な生理活動、「歯ぎしり」って?

当HPコラム内の、「TCH・ブラキシズムをご存じですか」にも記載していますが、私たちの習慣的生理活動に、歯ぎしりや噛みしめが存在します。それは、緊張などの心理的ストレスや口腔内のかみ合わせの不具合の代償でも起こりえますが、過度な荷重が習慣的持続的に加わることで、口腔内組織の破壊(歯周病炎症の進展や差し歯の破損・脱離、歯牙破折)や頸部・肩の筋疲労やコリ、頭痛、睡眠障害にも発展します。

この歯ぎしり・噛みしめ習慣を臨床的にはブラキシズムと呼んでいます。その種類は、

があり、それは1日の間で睡眠時ブラキシズム覚醒時ブラキシズムTCH:上下歯牙接触癖)に大別されます。

日中の覚醒時ブラキシズムは、睡眠時よりは荷重の程度は低めが多いですが、緊張時、集中時などに持続的に認められ、パソコンやスマホ画面に対するときや、お仕事や作業中(臨床上では、料理、裁縫、草取り、雪かき等、集中時や決まった姿勢での作業時の噛みしめを患者さんへの問診でお聞きすることもあります)に認めることも少なくありません。

一方の睡眠時ブラキシズムは、日中の習慣より持続時間は短く、荷重の程度は大きいと考えられます。睡眠時におけるある程度の歯ぎしりはストレス解放の生理活動でもありますが、前述した過度な荷重が持続的に加わる習慣では、起床時の顎や歯の痛み、身体のこわばりに合わせて、睡眠不足・疲労感という望ましくない状態を引き起こします。

睡眠時ブラキシズムを定量的・客観的に評価する

睡眠時ブラキシズムによる口腔内組織への影響は、様々な歯科疾患のリスクファクターとされています。今までは、歯ぎしり音、起床時の顎の痛みなどの問診や口腔内所見に委ねられていた睡眠時ブラキシズムの評価をウエアラブル筋電図解析により、客観的かつ定量的に評価することが可能になりました。

機器は軽量・小型化され、これまで 困難とされていた患者さん自身による(就寝時に頬部皮膚に張り付ける機器の貸し出し)自宅での筋電図測定が手軽に行えます。

検査データで何がわかりますか?

検査データ解析では、歯ぎしりの1時間当たりの回数と強さの程度を知ることができます。歯ぎしりパターンでは、

① ぎりぎりの歯ぎしり(グラインディング)が0.25~2秒未満の持続が3回以上続くものを「フェイジックエピソード」

② ぎゅうっと噛みしめ・食いしばり(クレンチング)が2秒以上持続したものを
「トニックエピソード」

③ フェイジックとトニック両方認めるもの「ミックスドエピソード」

の3種類が解析でき、それが1時間に4回以上認める場合に、臨床上の対応事例とします。

またその歯ぎしり荷重の力の強さを知ることができます。検査前の覚醒時に最大噛みしめをしていただき(それを基準に)、その強さのマックスの20%の強さを検査データとして認めるときには、生理活動を超えた著しい噛みしめ習慣とされます。

最大噛みしめの20%の噛みしめ強さって、大きいの小さいの?

一見、寝ているときの噛みしめ強さが、その人の最大噛みしめ力の20%ならば、少ないようにも思えますが、基準である最大噛みしめ強さは、歯牙全体で行った数値であり、通常就寝時の噛みしめは歯牙数歯でうみ出す値となりますので、その歯にかかる負担もかなり著しいことが理解できます。

尚、当診療室ではHPのコラム内にも記載の「咬合力検査について」にもありますが、患者さんの噛みしめ強さは、定量的に数値で見える化でき、その人の体重に対して荷重の度合いが適正かの診断を行ってきましたが、咬合力検査とウエアラブル筋電検査を併用することによって、睡眠時の噛みしめ強さが、何ニュートン(㎏重)かが判別可能となりました。

また睡眠時ブラキシズムと、睡眠中のいびき、無呼吸症候群との関連は多くの報告があります。その部分も視野に睡眠時の歯ぎしり習慣の状態を知って、それを生理現象範囲内に軽減させるための歯科診療での取り組みを行うことで、日々の健康へのサポートにつながることを重視しています。

解析結果をどう治療に反映させるのか?

その人の就寝中の荷重が加わる程度を判別することで、睡眠時ブラキシズムの軽度から重度の診断が可能になります。日常のストレスに対しては個人の許容や対処もありますが、それと連動する日中の口腔内の緊張習慣の改善が必要となります。

具体的には、安静時の舌の位置の適正化(低位舌の改善、低位舌の誘引となる態癖による歯列狭窄の予防)と、それにつながる上下の歯牙を1~3mmスペースを保持する安静空隙の常態化、そのための舌の筋力アップのための「あいうべ体操」の実施をお勧めします。また、枕の高さや睡眠時の姿勢の工夫も必要とされるポイントです。

そしてさらに治療介入が有効なケースでは、まず不可逆的な治療要素が高いマウスピース治療の選択も行います。この治療では、その人の状態によってマウスピースの形態を選択します。マウスピースをかみ合わせを高くするための目的や直接上下の歯牙が接触することから守るショックアブソーバーの役割という事よりも、日常の習慣を軽減させるための装置として位置づけ、マウスピースの使用を止めても、治療前の状態より良い方向に口腔の構造が変化すること(歯列傾斜のわずかな改善、顎関節の骨組織のリモデリングなど)を目標に考えています。

その後に、可逆的な治療(歯牙形態修復、不適正な差し歯の改善)が必要と判断される場合は、選択することになります。

引用)GC社 ウエアラブル筋電計資料

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