HOME>首や肩こりの原因にもなるTCHとは、なに?

TCHとは、何ですか?

TCHとは、Tooth Contacting Habit の略で、日本語で言えば、上下の歯を接触させる癖のことです。
食事以外で上下の歯を接触させる癖といえば、当診療室でも治療テーマにしている「ブラキシズム」つまり無意識時の、多くは就寝時の「かみしめ癖」「くいしばり癖」、いわゆる「歯ぎしり癖」が思い浮かびます。
しかし実際には、日中何かに集中したり、緊張した状況で、上下の歯を わずかに軽く「くっ」と接触させる癖が、東京医科歯科大学の歯科顎関節治療部での顎関節治療を受けられる患者さんに多く認められたことより、木野准教授を中心にしたグループでこの「TCH」が提唱されました。

では、リラックスしている時のかみ合わせの正常な状態とは?

 リラックスした時の上下の歯は、当たることなく少しすいています。この1~3ミリの隙間を「安静空隙」と呼びます。
当診療室では、よく患者さんに、「普段リラックスした状態では、唇閉じて、上下の歯は当たらずに少しすいてて、舌は上顎の粘膜に触れていて、鼻で呼吸している、それがベストな状態なんです!」
というお話をしています。(ますち歯科診療室のです!
という事は、逆に上下の歯が軽く触れた状態でも、顎の筋肉は緊張状態にあるという事なんです。ここが、ポイントです!

TCHの何がよくないですか?

軽く上下の歯を接触させることでも、その歯の歯根表面にある歯根膜という神経の圧迫、血流障害が起こっています。それによる歯の知覚過敏症状、歯周組織の変化、ダメージによる歯のかみ合わせ痛や動揺、浮き症状、やがては歯周病の進行にもつながってゆきます。

また、かみ合わせた状態の持続は、耳の前にある顎関節の圧迫を引き起こし、血流障害・関節痛の原因となります。顎関節症発症の一つの要因です。

次に筋肉について考えてみましょう。軽くかみ合わせた状態でも、収縮した顎の閉口筋(口を閉じる働きの筋肉)は緊張状態にあります。その状態の持続は、首や肩の筋肉の緊張へ波及します。そして疲労、血流障害が、筋肉のコリとなって出現するのです。

どういう時にTCHは、行われているのでしょうか?

TCHは何かに集中していたり、ここ一番の緊張が必要な時に行われることがもっとも考えられます。加えて自分では緊張してるつもりのないパソコンや携帯電話の操作も、かなりの頻度で予想され、大きく注目するところです。操作に長時間没頭が、リスク大となります。それが常態化すると、簡単にTCHしてしまう日常習慣が固定化される恐れもあります。

このTCH夜間のブラキシズム(くいしばり癖)との関係性も注目するところです。TCHが軽減されることによって、夜間のブラキシズムも軽減される可能性も、考えられています。
まずは、日中のTCHに対しての軽減アプローチです!
起きている今なら、なんとかできる!

TCHに対してどう取り組むか?

 日中おこるTCHに対しては、まず自身にその癖があることを自覚すること。そして気づいた時にはやめるようにすることが第一の対処法です。この方法は、そんなに難しい事ではありません。ある程度なら、自己改革可能です。
東京医科歯科大学のグループでは、「リマインダー」という方法を推奨しています。これは、「TCHストップ」の付箋などを部屋の各所に貼っておき、自己認識を習慣化する方法です。しかし、TCHをあまりに意識し過ぎた生活は、快適とは言えません。自己認識がストレスにならない程度が、長続きするとも考えられます。

そこで当診療室では、自己認識とともに、「舌の位置」に着目しています。
口腔内の機能的なバランスをキープするポイントに「舌の正常なポジション」を考えています。舌の筋力が低下し、舌の位置が不適正になっていくことによって、前述の「安静空隙」の消失がおこり、歯が接触する可能性が高まると考えられます。
お口の中で無意識の「力」が加わる習慣は、続けてその疲労から次には、口唇の弛緩を誘発し、口呼吸が助長されていく可能性があります。
これは、睡眠時のブラキシズム(くいしばり習慣)後に、同じく口呼吸に移行することにも通ずると見ています。起床時のお口の乾燥を訴える人に、口腔内の軟組織(頬粘膜や舌表面)でのブラキシズムの跡を認めたり、顎・首周囲の疲労感を感じる方も少なくありません。
よって、たかがTCH癖では済まされない、体へのリスクとして、対応していかなければならないと当診療室では考えています。

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